9:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/08(日) 23:49:38.36 ID:tTAn3URP0
◇◇◇
ステージの裏に、私は呆然と佇んでいました。
ステージの上では、凛ちゃんが歌っている。もう少しで、私の出番になる。
レッスンもたくさんしました。リハーサルだって、上手くいきました。
だけど、私は動けません。
「え、えっと」
自分の身体と心が、まるで他人の物のように言うことを聞いてくれない。
ステージは初めてじゃない。いつだって緊張はするけど、金縛りにあったように動かなくなることなんて、最近はありませんでした。
まるで、初めてステージに立った時みたいな……ガチガチで何もできなかった時みたいです。
「卯月」
心配そうな顔でプロデューサーさんは隣に立ちます。
「……ごめんなさい。何度もステージに立ってる筈なのに……それこそ、シンデレラガールになったのに、変な話ですよね」
不安に駆り立てられたのか、弱音が一気に溢れて出てきました。
「調子、悪いのか?」
「ずっと……こうなんです。一週間休んだ後から、すべて初めてのような気がして……」
レッスンの時も、凛ちゃんや美穂ちゃんと話した時も、どこか違和感はありました。
ずっと知っている筈なのに、まるで初めてのような感覚。今だって、知らない世界に飛び出すのが怖いです。
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