12:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/08(日) 23:54:55.72 ID:tTAn3URP0
◇◇◇
女子寮の自分の部屋に戻った後も、私の頭は真っ白なままでした。
何かしないといけない。反射的にテレビのリモコンをつかむと、電源を入れます。表示を見ると、ちょうどメディアの再生中でした。
「なに……かな」
反射的に、最初から再生していました。
そこは、まるで真っ暗な夜の海でした。
暗い真っ黒な空間に、細いピンク色の灯りだけがぽつぽつと浮かんでいます。
心細くゆらゆらと揺れる灯りは自分たちを照らしてくれる恒星を待っているようです。
やがて、一筋のスポットライトが暗闇を切り裂きました。その下には一人の少女。
「みなさーん、たのしんでくださーい!」
『島村卯月』がそこに居ました。
たぶん、過去のライブの映像……なんだと思います。
でも、不思議です。私のライブの映像の筈なのに、まるで他人のライブの映像みたいでした。
「きれい……」
自画自賛もいいところだと思います。でも、ステージの上で踊る女の子は……『島村卯月』は、とっても綺麗で……だれよりも輝いてる。
ステップも、歌声も、なにもかもが、今の私とは比べ物にならない。
今の私は、この『島村卯月』ではない。
進歩して変わったのではなくて、この『島村卯月』に置いていかれてしまっている。
「……やっぱり、このままじゃだめです」
今の私では、この映像の中の自分に負けてしまう。
仮にも、シンデレラガールになったのに、昔の自分に負けたくない。
意を決して、ちひろさんから手渡された便箋を開きます。
「これって……」
そこに記されていたのは、とある住所とそこへの地図でした。
45Res/41.73 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20