930: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/08/18(日) 20:05:12.11 ID:TPJ777ywO
永井の視界が突然暗くなる。左側頭部に衝撃が走り意識が一瞬途切れ、続いて圧迫感と痛みに襲われる。IBMの右手が永井の頭部を掴んでいた。IBMが力を込めると、するどく尖った爪が額を突き破り、頭蓋骨に食い込んだ。IBMが左手で永井の喉を掴む。
アナスタシア「ニェーニェー!」
アナスタシアがロシア語で悲鳴をあげる。
中野が悲鳴のした方向に顔を向ける。ちょうど突然視界を奪われたことと痛みによるショックから立ち直り、ポーチの拳銃を手探りで見つけたところだった。
中野「アーニャちゃん、どこ!?」
アナスタシアがはっとする。痛みに叫ぶ永井の声がすぐ上から聞こえてくる。
アナスタシア「まっすぐ、そのまま!」
平沢「体勢を低くしろ!」
平沢の声はどこかくぐもっている感じがした。
言われた通りの位置に向かって、言われた通りの姿勢を保ちながら中野が走った。
喉を掴むIBMの手が永井の頚動脈を突き破った。浮きあげられた永井を見上げるアナスタシアの青い眼に血が降りかかってきた。まさにその瞬間、中野がIBMにぶつかった。膝がくの字に折れ曲り、IBMは倒されるのをふせぐため右脚を前に出した。咄嗟の行動の勢いがあまってIBMの右手が永井の額を引きちぎった。平沢はその瞬間を見逃さなかった。永井の頭部を一発で撃ち抜くと、復活までの時間を稼ぐために消火器を投擲しつづけて撃った。
968Res/1014.51 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20