新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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924: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/08/18(日) 19:58:04.76 ID:TPJ777ywO

永井のすぐ右側にいるIBMが腕を振り上げた。その手と鋭く尖った爪はあまりに黒かったため、明かりのない通路の中でもその動きをはっきりと見てとれた。


中野「永井!」


中野が咄嗟に永井に飛びつく。

突き飛ばされ、永井は床に転がった。ふと首の後ろに痛みをおぼえ、血が背中へと流れていくのを感じる。シャツの襟から肩甲骨のあたりにかけて一筋の赤い染みができていた。

正気に戻った永井が起き上がって走り出そうとする。だが幽霊たちの挙動はあまりに素早く、あっという間に永井たちに追いついた。


平沢「IBMで援護しろ」


すかさず平沢がアナスタシアにむかって叫んだ。アナスタシアはびくりと震えたあと、ぎこちない動作で首を回し、平沢を見た。そこには平沢にとって見慣れた顔があった。戦場で何度も見てきた顔だった。あちこちを飛び交う銃弾、ひゅんひゅん飛んきてで空気を切り裂くそれらのうちの一発がこの世との最後の邂逅になるだろうと悟ったときの顔。アナスタシアの顔はもっと悪い。あちこちにいるのは黒い幽霊たちだったからだ。

平沢はアナスタシアの肩をひっ掴み、鋭い調子で叱咤した。


平沢「助けなければ死ぬぞ」


突き抜ける声の響きによって、アナスタシアが意志を取り戻す。



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