新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
1- 20
901: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/05/06(月) 22:35:16.79 ID:kdA8uLchO

暗闇を切り裂くように一発の銃弾が飛んできた。

田中の肩から血が飛び散り、つながれていた手が離された。


佐藤「あ! 田中君!?」


田中の顔を見た佐藤が驚く。


佐藤「ごめん、警官かと思ったよ」


佐藤は銃口を床に向けながら、田中に近づいてきた。李はおろおろしつつもしゃがみこみ、田中の肩の傷を心配そうにのぞきこんだ。佐藤の拳銃が李の動きをなぞるように動いた。

田中が銃口の動きを見て取る。

側による李の手を取って引っ張り自分の背中に隠すと、田中は中腰の姿勢になった。下村から奪った自動拳銃を手に持ち、銃口を正面に向ける。

銃口同士がまっすぐ見つめ合う。


佐藤「何をしているんだ? 田中君」


佐藤が田中に訊く。フロントサイトと効き目は直線上に結ばれている。


田中「佐藤さん……おれが暗殺リストを作ったことはわかってる……」

佐藤「どくんだ」

田中「だが、この人は違う……」


田中はいったん言葉を切った。肩の痛みは燃えるようだった。出血も激しく、銃を持つ手が安定しない。田中は右手の位置がすこし下がっていることに気づいた。しかし、元の位置に戻すことはしなかった。したくなかった。

田中は真っ直ぐ佐藤を見据えて、言った。


田中「この人を殺すのは、間違ってると思う」


佐藤は無言で田中を見据えている。銃口も視線も微動だにしない。李は怯えて震えている。田中の額を汗がつたい、息をのむ。

数秒間の沈黙……





<<前のレス[*]次のレス[#]>>
968Res/1014.51 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice