新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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891: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/05/06(月) 22:18:46.96 ID:kdA8uLchO

だが、アナスタシアをほんとうに戦慄させたのは痛覚の追体験ではなかった。

そのときの、“転送”のときの佐藤の感情、それもいっしょに流れ込んできた、特別な感情ではなかった、アナスタシアも抱いたことがある、たとえばライブ前のステージ袖、となりにいる美波といっしょに星のような輝きの前に歩み出し、歌を歌うときの心のはたらきとまったく同じだった。



佐藤はワクワクしていた。



永井が待ち構えているのを楽しみにしていた、人を殺すのを楽しみにしていた、“転送”そのものを楽しみにしていた、“転送”のあいだ、機械が身体を砕いている最中も佐藤はずっとワクワクし続けていた。

恐怖だった。

佐藤が自分と同じ感情を持っていることが。まぎれもなく死んだのに、その感情が存続していることが。その感情の存続によって行われ、これから行われようとしていることが。

アナスタシアは、もはや佐藤を敵だと思うことができなかった。





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