876: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/05/06(月) 21:59:10.19 ID:kdA8uLchO
消化器から吹き出す白煙によって、IBM二体の黒い肉体が互いの視界から隠された。柱の側の消火器を真鍋が撃ち、銃弾で射抜かれてできた孔から噴出された消火剤が猛烈な勢いであたりを包んだ。真鍋にはアナスタシアのIBMが視認できていなかった。だが、佐藤のIBMの淀みない動作から味方の危機を察知し機転を利かせたのだった。
噴出の勢いで消火器が倒れ、赤い本体を煙幕で隠しながら床を転がっていく。アナスタシアは即座にIBMの手を床から離させた。肩を動かし腕を折りたたみながら勢いをつけてタックルをするみたいに床に倒れると、頭のすぐ上を空気が流動していくのを感じた。佐藤のIBMの六本目の指とアナスタシアのIBMの十字形の頭部の右端の先端がぶつかり、互いに打ち消しあう。
アナスタシアはIBMの右脚をあげ、横になった姿勢のままおおきく足払いをした。こちらの脚一本を犠牲に、あちらの機動力を完全に無効化させるつもりだった。白い煙が切り裂かれ、視界がひらけたところから黒い足首が見えた。さっき佐藤のIBMが立っていた位置から一歩後退したところにいる。
アナスタシアはそのままIBMの右脚をぐるりと一周させ、ブレイクダンスのウィンドミルの要領で身体の上下を反転させる。そのとき手で床を掴み上体が持ち上がらないようにし、首だけあげた。白い煙幕はまだあたりに充満している。アナスタシアのIBMの回転のせいで煙幕には流動が見られたが、伏せっている姿勢を保っていたので消火剤が滞留している位置に身を隠すことには成功していた。佐藤のIBMが動けば、煙幕によって視覚化された空気の流動によってその行動を予期できる。
968Res/1014.51 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20