859: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/03/25(月) 00:19:52.06 ID:SzhTzFDuO
両腕をだらんと床におろし、田中がうなだれている。踊り場のIBMも田中と同様に床に尻をついて、突然いなくなった飼い主を探す忠犬のように虚空に顔を上げじっとしていた。
下村は麻酔銃を捨て、右脇のホルスターからH&K USPを引き抜いた。右手で拳銃を持つのは痛みのせいもあり、かなり苦労した。
騒ぎを聞きつけたフォージ安全の社員が動く様子のない田中に駆け寄って、声をかけようとする。
下村「どけ!」
拳銃を左右に振りながら、下村が怒鳴りつける。踊り場まで下り、銃口を田中に向けながら俯いてる顔を覗き見る。半開きになった口、眼は閉じられている。
下村は一息つき、拳銃を持った右手の親指でイヤホンを押さえ、報告した。
下村「田中を無力……」
突然、下村は何者かに後ろから突き飛ばされた。衝撃で拳銃が手から離れ、宙を舞った。右手が壁と顔に挟まれ、背中を圧迫する凄まじい力によって抜くことは不可能だった。下村は必死に首を伸ばし、何が起きたのか把握しようとする。田中がゆっくりと瞼をあげ、下村を眺めた。
下村「防弾……ベスト……厚み」
田中のIBMが抵抗を示す下村に顔を寄せ、威嚇するように短く吠えた。噛みつかれるのを怯んだ下村が反射的に頭を下げると、田中が麻酔ダートを装填し直す動作が眼にうつる。
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