新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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832: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/03/24(日) 23:45:55.52 ID:6D6vTS+OO

佐藤「止めてみせてよ、永井君」

永井「戸崎さん! スプリンクラ……」


二箇所が切開されたガス管、そのすぐ近くにはタバコと包装フィルムとマッチで作られた手作りのおもちゃめいた発火装置な置いてあった。タバコの火が根元までじりじりと迫っている。火がマッチの薬頭に届く。火がぼっと膨らむ。空気を求め海から顔を出した哺乳動物のように、包装フィルムを破って外に出た。

次の瞬間、爆発が起きる。

伝播した火炎によって温度上昇が引き起こされ、室内の気体の体積が一気に膨張する。ガス管のある部屋は密閉されていて室内の圧力の急激な上昇が閉じられた空間を吹き飛ばした。閉鎖空間内から凄まじい勢いで高圧の気体が噴出する。熱と衝撃が波となって襲いかかり、永井と中野、そして佐藤も飲み込んでいった。

ビルが揺れる。

眼覚めた永井は腹部に熱を感じた。ネクタイに火が付き、半分ほど燃えてしまっている。中野に至ってはシャツ全体が燃えおちていて、ばたばたともんどりを打ちながら燃えるシャツを脱ぎ捨てた。

永井はネクタイの結び目を乱暴に引っ張った。


永井「戸崎さん! 被害は!?」

『その区画だけだ!』


周囲を見渡すと、あちこちに火が飛び散っている。床にはバラバラになった部品が無数にあり、機械類は激しく損傷し、パイプは歪曲している。

永井が嫌な予感に振り向く。そして叫ぶ。


永井「ファンが壊れた!」


急ぎ、戸崎に叫ぶ。


永井「佐藤はどこに!?」

『今探してる!』

永井「僕らがこの部屋で何をするかはわからない、だからすべて吹っ飛ばしたのか!?」

中野「黒い粒子を送れなくたって……平沢さんたちなら……」

永井「ダメだ、ゴリ押しじゃ!」


吸い溜めていた空気を一気に吐き出すような大声を永井は出した。




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