825: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/03/24(日) 23:36:21.01 ID:6D6vTS+OO
佐藤が案内された工場はメインとなる敷地中央の工場の南側にあり、トタン張りの壁に埃がこびりついた、老朽化した小さな作業場だった。
シャッターを閉め明かりをつけると、天井の照明が目的の機械を照らし出した。その機械は正面シャッターからいちばん奥まった場所に置いてあった。
「木材破砕機……丸太を五センチ四方のチップに砕きます」
機械を前にした佐藤に向かって震える声で社員が説明した。
真上にある照明のはたらきのせいもあって木材破砕機は舞台装置めいて見えた。スポットライトをあびて、クライマックスでの活躍をいまかいまかと期待しているようだ。
佐藤「そろそろかな。動かして」
壁時計を見た佐藤は、時刻がバイク便に電話したときに聞いた到着予定時刻を二十分ほど経過していることを確認すると、材木工場の社員に向かって指示を出した。震える指でなんとか起動スイッチを押し、カッタードラムの回転を最速に設定する。
佐藤は丸太をカッタードラムに送り込むためのベルトコンベアの両端に足を乗せた。
「なに……する気だ?」
佐藤の行動はたちまち結果を想像させ、材木工場の社員は堪えきれず、まさかという気持ちで訊いた。
佐藤「運が良ければめずらしいものが見れるよ、ミスター・スポック」
佐藤は社員の恐怖をよそに応えた。
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