新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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790: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/01/26(土) 22:29:53.72 ID:ymR8HEsBO

李は震えあがっていた。田中が社長室に侵入してきたのを見たとき、李はとっさに立ち上がったが、それ以上は動かなかった。喉は閉塞し、呼吸するのもつらい。眼はずっと見開かれている。田中が強化ガラスのドアの前で立ち止まる。田中と李の眼があった。


田中「久しぶりだな」


怯えきっている李を睨みつけながら田中が吐き捨てるように言った。

高橋がガラス越しにターゲットを撃った。巨大な一枚ガラスにヒビが入る。


田中「防弾ガラスだよ! ドアの鍵を壊せ!」


田中はドア下部のデッドボルトを狙ってショットガンを撃った。頑丈な作りのため、散弾を一発撃ち込んだだけではビクともしない。


平沢「今だ」


平沢が無線でタイミングを告げた。黒服たちは李から離れ、それぞれソファや壁から張り出した柱に身を隠していた。彼らの任務は対象の護衛ではなく、あくまで佐藤ら亜人テログループの捕獲だった。黒服たちは麻酔銃を構え、銃声にまったく反応を見せないまま、田中らが侵入してくるのをじっと待っている。

三発目でデッドボルトが吹き飛んだ。強化ガラスのドアが開き、銃口を上げることも忘れ、まっさきに田中が中に飛び込む。

ショットガンを持ち上げ、左手で銃身を支える。銃口が真っ直ぐ、李に向けられる。




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