788: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/01/26(土) 22:27:12.37 ID:ymR8HEsBO
奥山「何か、変だぞ」
一方の奥山は違和感に手を止め、思考をフル回転させていた。偶然とは思えないタイミングで無線が通じなくなった。しかし、妨害だとしたらいったいだれが? フォージ安全側の人間である可能性はきわめて低い。セキュリティ・サーバー室は掌握してあるし、妨害が可能なら被害が大きくなる前に行っているはず。第三者の介入? だが、外部にセキュリティ業務が委託された痕跡はなかったはず……
いきなり、警報が鳴り響いた。
奥山「火災警報……十階……」
奥山は囮のエサに誘い込まれた鼠のように警報を表示しているモニターに見入った。十階の通路にある監視カメラが火元の映像を映し出した。
永井圭が火のついた紙束を松明のように掲げて、帽子を脱いで監視カメラを見上げていた。
奥山「永井……圭……? 何してる、こんなところで……」
奥山がカメラ越しに永井と視線を合わせていたのは一瞬だった。奥山は左手を素早くあげ、耳のイヤホンを指で押さえて叫ぶ。
奥山「田中さん、中止して!」
インカムから返ってきたのはノイズだけだった。
奥山「ったく!」
床を足で蹴って固定電話へと飛びつく。勢いづいたオフィスチェアをデスクを抑えてとめ、受話器を持ち上げ番号を押す。
968Res/1014.51 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20