765: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/01/26(土) 21:51:35.58 ID:ymR8HEsBO
天井のガス式スプリンクラーから消火用のガスが部屋中に放出される。ガスが身体に振りかかるのを感じた奥山は静かに深呼吸をした。ガラス扉前の社員たちの一部はとっさに息を止めた。無呼吸でいるのは長く続かず、激しく咳き込む音がいくつもした。室内の二酸化炭素濃度が致死量に達すると、そういった音もなくなり、どさどさという成人男性の体重が床にぶつかる音がガスの放出音にまぎれてかすかに鳴ったが、その音を耳にする者はひとりもいなかった。
ガスの放出がおわり、室内の二酸化炭素濃度を通常に戻すため空調が働き始める。
奥山の眼が覚めたとき、ゴォッーという空調の作動音はまだおおきく響いていた。
奥山「さて」
奥山は理性的な眼で出口の前に積み重なっている死体を見やってから、椅子をくるりと回転させ大型モニターを見上げた。
奥山「んー……フォージ安全のハッキングかぁー……」
システムを再起動するとモニターが点り、警備システムにログインできるように操作する。
奥山「テンション高いなあ」
キーボードを叩きながら、奥山はいつもと変わらない平静な調子でつぶやいた。
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