766: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/01/26(土) 21:55:38.55 ID:ymR8HEsBO
ビル前に停められたバンのなかで田中は奥山からの報告を待っていた。荷台に座り込んだ田中はスマートフォンを左手に持ち、連絡がくるのを待ちわび焦れたように画面を凝視していた。連絡がまだきてないとわかりポケットにしまってからもスマートフォンを握りしめたままだった。右手は荷台に置かれたショットガンのグリップに置かれ、すこしだけ力をいれて押さえつけている。荷台に張られた車内カーペットの上にショットガンを置いたとき、固さと重さを持った音がかすかに、合成繊維では吸収できなかった分だけ田中の耳に届き、その音のため田中の右手は銃を押さえつけていた。
田中がふたたびスマートフォンをポケットから取り出し、画面を見つめていると高橋が眼前で小瓶を振った。
高橋「ホレホレ、おまえもやっとけって」
小瓶のなかの白い粉がさらさらと左右に揺れた。考えるまでもなくヤクだ。
田中「集中しろ」
高橋「こそだろ」
高橋は小瓶を引っ込め、頭を壁に預けながら田中を見やると、気負っているくせに何もわかっていないとでも言いたげに唇の右端を持ち上げた。
高橋「どちらかというとアッパー系ドラッグだ。すべてが鮮明になる。銃の狙いもハンパなくなるぜ」
そこまで言うと高橋の微笑が大きくなり、明確に田中を小馬鹿にしたものに変わった。
高橋「おまえ、ド下手なんだからよお」
田中「だまれ」
田中がぴしゃりと言い返した。
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