新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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724: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/11/04(日) 21:26:02.27 ID:jiMS7eDVO

中野「手伝ってくれ、永井」

永井「指が擦りむける」

アナスタシア「アーニャがやります」


 アナスタシアは憮然としながら前に進んだ。言い訳するにしてももっとましな説得力のある言い方をしてほしいものだというふうに態度で示しているかのようだった。

 その白くて細い指を隙間に入れるまえに、中野が「ちょっと待って」とアナスタシアを制した。ふっ、と気を抜くように息を吐き、わずかに力を抜いてから右腕に──指、手首、上腕にかけて──一気に力を込める。ふたがふたたび、さっきよりも少し持ち上がり、中野がアナスタシアに「いま!」と指示を飛ばす。

 アナスタシアが指を突っ込み、身体ごと持ち上げる。ふたがくっと上がり、止まる。少しだけしか上がらなかったが、中野が左手の指を入れ込むだけの隙間はできた。

 指からふっと重さが消える。ふたは一瞬、垂直になって静止したかと思うと、銃で撃たれた者のように後ろに倒れた。コンクリートのふたがアスファルトにぶつかったときの衝撃はすさまじく、それこそ銃声のような音を響かせた。事実、アナスタシアはその音のあまりの大きさにたじろいでしまった。



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