71: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/01/28(土) 23:10:56.51 ID:8ENUCYV1O
セダンは県境を越え、永井の家がある埼玉県へと入っていった。都心からはなれ、明かりもビルもかなり減っていたが、それでもまだ高速道路を走る車の数はまばらに存在し、セダンが車両を追い越したり、反対車線の車のヘッドライトがフロントガラスから飛び込んできたりした。
後方に流れていく車や光を眼鏡のレンズ越しに眺めながら、戸崎は駐車場での違和感に突然思いあたった。駐車場からビルへの通用口を警備する警官二名が不在だったのだ。
運転席の下村はハンドルを握りながらじっと前を向いて、いささか横道にそれた考えにふけっていた。それはある種の仮定だった。良心や善意のない人間がもしいるとすれば、と下村は思ってみた。そのひと、いったいはどんなことをするのだろう、と。
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