72: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/01/28(土) 23:13:16.72 ID:8ENUCYV1O
美波は決断を下していた。すくなくとも、プロデューサーにはそう見えた。
じっと呼吸をこらえ海の底にでもとどまっているかのように、美波は応接室の革貼りのソファに、背中を丸めながら前を見て座っていた。頭の働かせるのに視線が役にたつと思っているのか、美波は正面にある誰もいないソファを凝視している。
プロデューサーが応接室にはいってきたときも、美波は微動だにせず、なんの反応もみせないまま座り続けていた。
武内P「新田さん」
プロデューサーに呼びかけられたとき、美波ははた目でもわかるようにおおきく息を吸い彼のほうを向いた。
美波「……プロデューサーさん、記者会見について詳しく聞かせてくれますか?」
プロデューサーはすぐには口を開かなかった。彼は美波の正面にある来客用の黒いソファに腰をおろし顔をあげた。顔をあげたとき、プロデューサーの目は美波の視線とぶつかった。美波はさっきの言葉を言い終えるとすぐに顔の向きを戻し、プロデューサーの動きを目で追うことなくふたたびずっと正面を見続けていた。プロデューサーは、ふと腰をおろし息をついたとき、突然目の前にあった彫像が目に飛び込んできたかのような錯覚に陥った。ややあってから、彼が美波にたずねた。
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