698: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:24:42.80 ID:z5kRHM0CO
田中がアジトの通路を進んでいると、棒立ちしている佐藤のIBMに出くわした。ちょうど報告のために佐藤を探していた田中はIBMに呼びかた。が、すぐにこの前言っていたことを思い出し、あげかけた手を引っ込めた。
田中「あれか、放任中か」
699: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:25:36.30 ID:z5kRHM0CO
ペンにキャップをし、田中は頬についた血を拭いもせず、佐藤に訊いた。佐藤はゲームをポーズ状態にして、ボタンから指を離した。そして、節々から力を抜きながら、佐藤はいった。
佐藤「三人くらいにしとけばよかったなあ」
700: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:26:32.66 ID:z5kRHM0CO
アジトの裏に積まれた廃品の山から鉄臭い臭いが漂ってきた。
何年も前に廃業した工場の裏手には、鉄材や木材、砕けたガラス、絡み付いた鉄線、キャビネット、スチールデスク、パソコン、カーペットや自転車や自動車のドア、扇風機にエアコン、はてはフォークリフトまで投棄されていた。
701: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:27:42.75 ID:z5kRHM0CO
たしかに、暗殺リストの十一人はおれの復讐だ。もっとほかにも殺したい奴はいる。──おれを切り刻んだやつ、精神鑑定をしたやつ、企業におれを紹介したやつ、悪態つきながら排泄物を処理したやつ──
だが、あの十一人だけにした。それは復讐以上に重要な意味があったからだ。
702: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:28:32.99 ID:z5kRHM0CO
だが、知らしめることはできる。
おまえたちが使っているものはおれの苦痛からできたものだ、あるいはそうかもしれない、違うかもしれない、確実にそうだと言えるものは限られているが、それは大量にあるし、可能性を含むものは定義的にすべてのものだ。
703: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:29:27.06 ID:z5kRHM0CO
奥山「フォージ安全の青写真ダウンロードしたよ。これ、PDFにしといたから」
田中「……奥山」
704: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:30:04.30 ID:z5kRHM0CO
田中が気づかなかったことがもうひとつあった。
佐藤のIBMに声をかけようとしてやめ、田中が通路を奥へと進んだときのことだった。
705: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:43:12.67 ID:z5kRHM0CO
今日はここまで。
一万字程度ですが、来週には続きを更新できると思います。あと、ハロウィン関係のネタでなにか書こうかと。クローネの誰かを出したい。
706:名無しNIPPER[sage]
2018/10/20(土) 00:40:13.58 ID:AAkaDZ9k0
追い付いた
もうこれ半分本編補完のノベライズみたいになっとる(誉め言葉)
亜人好きだから嬉しいよ
707: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/11/04(日) 20:59:17.26 ID:jiMS7eDVO
フォージ安全ビルの地下駐車場に国産のセダンと黒のSUVが縦列に連なってすべるように進入してきた。先頭のSUVが柱近くのスペースに停車すると、黒服たちは一斉に下車し、各々の装備を詰め込んだバッグやケースを担ぎ上げた。
SUVの反対側にセダンが停まった。下村の運転するセダンはカーリングの石のようにゆるやかでスムーズな停車を見せ、なかに乗っている人間にすこしの振動も伝えなかった。
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