新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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699: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:25:36.30 ID:z5kRHM0CO

 ペンにキャップをし、田中は頬についた血を拭いもせず、佐藤に訊いた。佐藤はゲームをポーズ状態にして、ボタンから指を離した。そして、節々から力を抜きながら、佐藤はいった。


佐藤「三人くらいにしとけばよかったなあ」

田中「は?」


 田中は驚き、佐藤に首を向けた。


佐藤「SAT以降、これといった工夫もしてこないし……十一人は多すぎたよ」


 佐藤は何百回もプレイし、攻略し尽くしたゲームのポーズ画面を見ながら、はっきりと不満を口にした。


佐藤「飽きちゃった」

田中「でも……実験に荷担した奴らなんすよ!?」

佐藤「あと六人かあ」


 田中の訴えを聞き流すかのように佐藤が呟く。コントローラーを持ち直し、ポーズを解除すると、戦闘音が鳴り響いた。


佐藤「田中君でやっといてよ」


 カチャカチャというコントローラーの操作音、惰性的なプレイで敵を撃ち殺しながら、佐藤は田中を見ずに話しかけた。


佐藤「もうできるでしょ? 私は次のウェーブから参加するから」

 
 田中は何も言うことができなかった。しばらく佐藤の背中を見つめていたが、やがてなかば呆然としたまま部屋を出ていった。


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