680: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/10/15(月) 21:05:28.67 ID:z5kRHM0CO
オグラ「人間が三十七兆個の細胞の寄せ集めなようにこいつらも粒子の集合体にすぎない。隣り合うIBM粒子同士が特殊な化学結合で結びつき、肉体を形作っている。
これは分断程度の別離では断ち切れない。お互いを引っ張りあい再結合する。だが、IBM同士が強く衝突した場合、異なる情報を持つ粒子が混ざりあってしまう。
混線状態だ。再結合するべき粒子と連絡がとれなくなり、結果、お互い散り散りに。よって相殺する」
下村のIBMが消失し発現できる限度を迎えたので、オグラの講座は終了となった。オグラは新しいタバコに火を点けながら、“なりかけ”のことを言い忘れていた、まあいい、また今度だ、などとぶつくさ言いながら去っていった。
永井と中野にはまた別の訓練が待っていた。
今度の講師は黒服のふたりで、永井はこのふたりの名前を知らなかったし、黒服のほうも名乗らなかった。
九月とはいえまだ暑さも残っているのに、ふたりともスーツ姿だった。年の若いほう(おそらく三十代、戸崎と同年代)は黒いジャケットの下にワイシャツを着ていて一番上のボタンを外していた。ネクタイはしておらず、そのおかげかわりと涼しげで汗ひとつかいていない。
もうひとり、艶のある黒髪をオールバックにした四十代とみられる男は同じジャケットの下に深い赤茶色のTシャツをのぞかせていて、襟のところをを黒く湿らせていた。
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