新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
1- 20
68: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/01/28(土) 23:04:57.67 ID:8ENUCYV1O

駐車場ではコンクリート柱が陰鬱そうに光を吸収し、不吉な緑色に染まっていた。目に見えるほどの大きさの粒子が降り注いでいるかのようなざらついた雰囲気の空間のなかに戸崎たちが乗ってきた公用車はあった。駐車されているセダンはおとなしく動きをとめたまま、黒い車体のつややかさをアピールしていた。

会議が終了し、駐車場まで戻ってきた戸崎はこの光景に微かな違和感を覚えた。間違い探しをしているかのような感覚。類似した二枚の絵を並べて、ほんのわずかに異なる点を挙げる。どことはいえないがたしかに異なるところが駐車場の風景にはあった。

とはいえ、人間の認識の曖昧さをあげつらって遊ぶゲームに戸崎は興味がなかったし、そもそもゲームをする暇がなかった。戸崎はセダンの助手席に乗り込んだ。運転席についた下村が戸崎に聞いた。


下村「次は埼玉の永井宅ですね」

戸崎「ああ。運転を頼む」


下村はシリンダーに差し込んだイグニッションキーを回し、エンジンを点火した。エンジンの唸り声がして、かすかな振動が椅子から伝わった。


下村「懸賞金のこと、説明してよかったんですか?」


セダンを出発させるまえに、下村は気になっていたことを戸崎にたずねた。




<<前のレス[*]次のレス[#]>>
968Res/1014.51 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice