新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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637: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/07/08(日) 21:11:11.84 ID:Wqc3ZOPPO

 永井と中野は入口に突っ込んだ自動車を乗り捨て、病院のなかを突っ走っていた。


永井「中野! 戸崎とは一対一で交渉する、おまえは隠れててくれ!」


 廊下を駆けながら、永井は後からついてくる中野に叫んだ。


永井「敵が強硬確保に走ったときの切り札だ、おまえの幽霊でやつの取り巻きを鎮圧してくれ!」

中野「幽霊……あの黒いバケモンか」


 中野はわずかに戸惑ったあと、意を決して言った。


中野「おれ、アレ出せねーぞ」

永井「は!? 笑えないんだけど」

中野「マジだよ! 厚労省前ではじめて見てすげえビビったんだから!」


 眼前に階段が迫っていた。永井は罵りたい気持ちをぐッとこらえ、手すりをつかんで身体を引き上げた。


永井「……どっちにしろ隠れてろ、おまえがいたら話がこじれそうだ」


 言いながら永井は踏段をいくつか踏み飛ばして階段を駆け上がる。目的の階までなんとか間に合うように。
 

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