608: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/05/13(日) 22:15:12.37 ID:HRQM2WMiO
中野が右にくんっとハンドルをきり、自動車はコンビニへと入っていった。アナスタシアは強い遠心力を感じながらスピードが速すぎるのではないかと思ったが、車はスムーズに駐車場に進入していった。
時刻は七時五十分。プロダクション近くのこのコンビニのこの時間帯は客足のピークが過ぎ去ったころで、停まっている車は従業員のものをのぞけば一台しかなく、その車はプロデューサーが運転してきたものだった。プロデューサーは車から降り、コンビニの入口前に直立姿勢で待っていた。どことなく落ち着かない様子だ。
車が曲がったとき、リアウインド越しにアナスタシアとプロデューサーの眼が合った。プロデューサーが車に引っ張られるように身体の向きを変え、アナスタシアを追いかけた。
アナスタシア「コウ、あの人がプロデューサーです」
中野がバックのために振り向くとアナスタシアは頭を下げた。駐車スペースに停まり、アナスタシアは車から降りた。
プロデューサーはアナスタシアがいま眼の前にいるのがまだ信じられないのか、半分呆けたような表情をしていた。言葉を失っているプロデューサーを前にすると、アナスタシアも何を話していいのかわからなくなっていた。
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