新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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546: ◆8zklXZsAwY[saga]
2018/02/18(日) 21:18:44.07 ID:oL93h30zO

 そう言ってから、アナスタシアの表情を見る。返事は聞くまでもなかった。永井は悩ましげに瞼をぎゅっと閉じ、指で押さえた。いったいどうして、こいつはこんな状況なのに情緒的にしか頭を働かせられないんだ。情緒を理由に行動したり、モラルを優先したりするのは、市民権のある人間ーーそう、まさしく人間ーーにしかできない贅沢だってのに。権利のない人間にとって、道徳の優先順位は食うことより下。ブレヒトを読んでなくたって、それくらい理解できそうなものなのに……。


永井「ああ、そういうことか」


 永井はアナスタシアが自分に何を求めているのか悟った。けだるい態度でふたたび下方のアナスタシアを見る。こんどはゆっくりと、貫くように。思考そのものを読みとろうとするかのように、アナスタシアの凍りついた表情を見る。

 理由はあの小楢の木の下ですでに聞いていたのだと永井は思い出した。新田美波の弟だから。それが理由だ。



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