536: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/12/23(土) 00:10:59.37 ID:FyC54XJBO
永井「この辺りのことはいろいろ調べてある。ここから入水すれば潮の流れで押し戻されずに外へ出られるし、そう遠くへも行かない……たぶん」
中野「外国に行っちゃったりしてな」
永井「インドじゃあ亜人は崇拝されてるらしいよ」
中野「すうはい?」
永井は、中野がバカをさらす発言をしても、いちいち呆れないようにしようと心に決めた。
永井「準備はいいか?」
中野「おれは大丈夫だ」
永井「あそう」
電話したときの海斗と同じことを言う中野に、永井は不愉快そうに眼を細めた。次にアナスタシアの方に顔を向けると、身体に巻いたロープの結びつけがゆるいことに永井は気づいた。
永井「ああもう」
永井は結び目をちょっと乱暴に解くと、ロープが緩まないように引っ張っり、それから固く締め上げた。永井が自分に手を伸ばしてきたとき、アナスタシアはビクッとし、おもむろに腕をあげて頭をかばった。やっぱりまだ永井のことは怖かったからだか、その動きが身体を開けることになり、永井の作業をスムーズにさせた。巻き直されたロープはアナスタシアの肋骨に食い込み、じりじりとした痛みを与えていた。
だが、呻くひまはなかった。アナスタシアの身体が突然「く」の字に折れ曲がり、崖に向かって引っ張られた。
永井はロープを結び直したあと、すぐに崖から飛び降りた。永井が岸壁から虚空へ足を置いた瞬間、中野は慌てて永井のあとを追った。ロープに苦しめられていたアナスタシアはそのことに気づかなかったのだ。
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