新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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528: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/12/22(金) 23:52:16.38 ID:OBzab0O/O

 事態の重さに堀口は屈みこむ途中のような姿勢で動揺していた。パキッという小枝を踏む音に堀口は顔をあげた。

 いきり立つように荒く呼吸を繰り返している北が猟銃の引き金に指をかけたまま、あたりを警戒していた。わずかな物音があれば、北はあまりある勢いで音がした方向を向いたので、まるで猟銃を振り回しているかのようだった。

 恐慌をきたしている北に近づくのは勇気が要った。「北さん」と声をかけた瞬間、銃口が堀口に向けられた。北はすぐに堀口に気づき、猟銃を上に向けた。生きた心地はしなかったが、つまりそれは生きているということで、大きく息を吐くと言うべきことが口に上った。


堀口「北さん、もうやめよう」

北「なんだと!?」

堀口「林道と橋には人を置いとくが、森の捜索はまた明日にしよう」


 北は煮えくり返るような怒りに満ちているだろうと堀口は思ったが、北はがなりたてて反対することはなく、唇を歪めるにとどめていた。


山田「班長、はやく!」


 仲間に呼ばれて堀口は北に背を向けた。負傷者を抱えた一団はすでに見えなくなっていて、襲撃があった場所に残っているのは北と堀口以外にはだれもいなかった。

 堀口は歩きながら後ろに注意を払った。北が後をついてくる気配は感じない。堀口はそのことに一抹の不安を覚えていた。


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