481: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/10/23(月) 22:54:34.08 ID:rkcK97lyO
観測手03「01・02ダウン。これでは連続して殺せない。避難しましょう」
南側のビルの屋上にいる観測手が腰を浮かせながら、パートナーである狙撃手に向かって言った。
狙撃手03「まだだ!」
狙撃手は伏射の姿勢のままパートナーの提案を大声で却下した。
狙撃手03「敵の……ライフル自体を無力化する」
右目をスコープに押し付けながら、狙撃手は狙いを高橋からライフルへと移行する。観測手は腰を浮かしたまま、どうするべきか迷っていた。離れたところで金属音がしてばっと顔をあげると、01と02を殺害したIBMが、貯水タンクを蹴ってビルの外壁に跳び移る姿が眼に入った。 IBMは驚くべき速さでこちらに向かってきている。
観測手03「はぁ、はぁ」
観測手の呼吸が恐怖で荒くなった。いま、パートナーの言う通りに敵のライフルの狙撃に戻ればIBMから逃げることは不可能になる。迷っている時間は一秒だってなかった。
観測手は狙撃手を見た。パートナーは何も言わずにスコープの先の標的に狙いをつけ続けている。彼にある感覚は指と眼のそれだけだった。彼の関心は狙撃することだけだった。そして、狙撃を完璧なものにするには、観測手が必要だった。狙撃手はなにも言わず、屋上に伏せたままでいる。IBMは迫りつつある。決断はすべて、観測手自身がくださなければならない。
観測手は身を翻し、スコープを覗きこんだ。
観測手03「ほぼ無風、行けます!」
狙撃手03「了解。仕事をやり切るぞ」
狙撃手は息を止め、わずかな震動もライフルに伝わらないようにした。
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