新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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455: ◆X5vKxFyzyo[saga]
2017/09/25(月) 21:14:03.89 ID:4fkctst+O

 美波は衝撃を受けつつも、まだニュースが伝える事態に距離を置くことが可能だった。地震があったのかと思ったが、壊れたビルは東京のオフィス街にあり、被害もこのビル一棟だけだったので、地震ではないと自ずと理解できた。

 美波はいったいどんなことがあったのだろうと、一層身を乗り出し、何を見ても冷静な態度でいられるというようにテレビに顔を近づけた。


『はたして亜人・佐藤の犯行予告と関連はあるのでしょうか』


 レポーターの言葉に美波はふたたびソファに凭れ込んだ。


美波「うそ……」


 美波は全身から力が抜けていくの感じながら、それでもテレビから目を離せないでいた。腕や脚の筋肉が弛緩したようにだらんと垂れていくなか、眼だけが見開かれていた。

 あそこに死なない人間がいる、と美波は思った。圭と同じ、死なない人間が。

 その事実がどのような結果をもたらすのか、美波にはわからなかった。

 もしかしたら、これが結果なのかも、という声が美波の頭の中のどこか奥の方から響いてきた。美波はばっと後ろを振り向いた。そこには何もなかった。美波は瞼を硬直させたままテレビに視線を戻した。

 もしかしたら、これが結果なのかも。美波は声を反芻しながら、テレビ画面を凝視した。そこに映っているのは、さっきと同じ崩壊したビルと炎、その上を覆い尽くす黒煙だった。だが、美波の意識はカメラが映すもの以上のものを感じ取っていた。

 瓦礫の山に埋もれる夥しい死体。そして、その上に立つ、決して死ぬことのない人間。


 亜人。


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