433: ◆X5vKxFyzyo[saga]
2017/09/25(月) 20:35:44.70 ID:4fkctst+O
未央はすこし俯いて黙っていたが、ひた隠そうとした胸中を友人二人に言い当てられたことに動揺していて、その内面が唇に現れていた。喉につっかえる言葉をなんとか口にしようと唇はわずかに開くが、すぐに閉じてしまう。藍子も茜も足を止めて未央を見守っている。やがて未央の口がちゃんと開き、迷いがちに言葉を口にした。
未央「あのドリンクさ……作ってるの、グラント製薬なんだよね」
藍子「それって……」
未央「みなみんの弟さんに人体実験してた、かもしれないとこ」
茜「ほ、ほんとうにそうなんですか……?」
未央は小さく「うん」とだけ言った。
未央「あ、でもあのドリンクが人体実験と関係あるとかそんなことはないと思うよ。開発してるとこは子会社っぽいし」
未央がそのように言ったのは、友人二人が自分の動揺が移ったかのように顔から表情が消えていたからだった。思わぬ事実の露呈によって、自らが拠って立っていた地面に荒涼とした陰惨な場所を発見してしまったかのように、二人の顔は青白くなっていた。
昼下がりの通りに人はまばらでここで三人が立ち止まったところで歩行者の迷惑にはならなかったが、未央は元気を取り戻したかのように振る舞って二人をどこか別のところに連れ出そうとした。未央たちのすぐ側を中学生くらいとおぼしき三人の少女が通り過ぎた。どうやら近くで人だかりが出来ているらしく、彼女たちははしゃいだ様子でその場所に向かおうとしていた。
968Res/1014.51 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20