413: ◆X5vKxFyzyo[saga]
2017/09/25(月) 19:56:14.17 ID:4fkctst+O
グラント製薬社長「もし、IBMなんてものが実在するとして、何ができるというんだ」
社長室から見下ろす視界に映っているのは、盾を装備した機動隊がグラント製薬の本社ビルをまるで城壁のようにぐるりと囲んでいる光景だった。機動隊のほかに百五十名近くの警察官が本社ビル周辺の警戒にあたり、不審車両のチェックのため交通規制を敷いている。そのため、グラント製薬の周囲の道路には車が延々と連なり、遅々として進まなくなっていた。
警備の警官は屋上にも配置されていた。屋上の西側の端に無線を持った警官が待機していた。日光が顔に当たるのを避けるため、その警官は顔を下げていた。無線に指示がはいると、その警官は顔を上げ、給水口に繋げられた消化用ホースの側で待機している同僚に放水を始めるように伝えた。ホースの口は屋上の四隅に向けられていて、警官が栓を操作すると萎んで横たわっていたホースが強い水の流れによって膨らんだ。
上向いたホースから放出された水流は放たれた直後に拡散し、ばらばらの滴となって光を浴びながら落ちていった。
水滴は社長室の窓ガラスにも張り付き、泳ぐようにして下に向かっていく。滝の裏側を見ているような光景だった。
グラント製薬社長「この建物を吹き飛ばすのに何キロの爆薬が必要だと思う?」
グラント製薬の社長は窓ガラスをつたう水滴を眺めながら言った。
グラント製薬社長「この警備の中コソコソ持ち込むなんて不可能だよ」
グラント製薬社長「帽子の男の虚言になど付き合ってられん」
そのように言う社長の口調は、まるでこの鉄壁の警備が、自らの力によって組織されたかのような口ぶりだった。
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