412: ◆X5vKxFyzyo[saga]
2017/09/25(月) 19:48:26.18 ID:Tw0BKg/zO
−−午前十時五十六分。
スクリーンのような横幅の広いガラス窓から差し込んでくる光線は壁に斜めの線を走らせ、三角錐を横倒しにしたような明るい領域を社長室のデスクのあたりに作っていた。
グラント製薬の社長はデスクにしまわれた椅子の後ろに立ち、身体の向きを斜めにして窓の外を眺めている。佐藤からの爆破予告を受けたにもかかわらず、その様子に動揺したところはなく、平然としている。たかをくくっているとも言えそうな様子だった。
機動隊隊長「社長」
背を向けて高層ビルが立ち並ぶ外の景色に目を向けているグラント製薬の社長にむかって、警備の現場責任者である機動隊の隊長が声をかけた。
機動隊隊長「社員を帰宅させるべきです」
隊長の声は落ち着いていたが、真剣だった。
グラント製薬社長「時は金なりだ」
振り返った社長が機動隊の隊長に答えた。
グラント製薬社長「一日の休業で何億の損失になると思う」
機動隊隊長「人命に係わります」
グラント製薬社長「金と命は同義語だよ」
そう言うと、社長はふたたび窓のほうへ首を向けた。
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