396: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/08/12(土) 23:53:38.47 ID:jvW3su8lO
自販機の硬化投入口の横の電光板がちかちら光っていた。四桁の数字が揃い、当たりの表示がされている。
アナスタシアは思いきってきなこ味のスタミナドリンクに人差し指を伸ばした。これを話題にして、果敢にも凄まじく居心地の悪いこの場の空気をすこしでも良くしようとしての行動だったが、先に永井の指が音もなく伸び、同じ缶コーヒーのボタンを押した。
取り出し口に手を伸ばす永井を見下ろしながら、アナスタシアはいじけたようにボソッとつぶやいた。
アナスタシア「ケイ、そんなことしてたら、友だち、いなくなります」
永井「カイになにかしたら、おまえ、殺してやる」
アナスタシアの背筋が一瞬凍りついた。明確な殺意を身に浴びて恐怖した。それが一瞬だけですんだのは、永井自身が言った直後にさっきの反応は早とちりだったし、過剰だと省みて殺意をおさめたからだった。
永井はふたたび硬貨を自販機に入れた。商品ボタンが点灯すると、永井はアナスタシアに聞いた。
永井「……きなこ味?」
永井が自販機の見本を指差した。
アナスタシア「……きなこ味」
そう答えたあと、アナスタシアも永井と同じ見本に指先を向けた。永井がボタンを押すと、商品が取り出し口に落ちてきた。
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