343: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/07/08(土) 14:53:35.04 ID:uktM1pJmO
永井「心配しなくても、しかるべきタイミングで外に出してやるよ」
永井はアナスタシアを引き摺りながら言った。
永井「追いかける獲物がいないと、警察も政府も困るだろうからな」
アナスタシアが何かを言おうと口の代わりに目をおおきく開けた。彼女の目が捉えたのは、地面にぽっかりと空いた暗闇だけだった。アナスタシアは一瞬、大きくなった永井の眼に見られているのかと思った。次の瞬間、井戸の内壁にアナスタシアの額がぶつかった。下を向いて落とされたアナスタシアの身体がこの衝突で左方向に回って、肩から落下していった。
どすん、という落下音がした。永井は真っ暗な井戸を覗き込んだまま一分ほど待機してみた。なにも起きなかった。永井は木の幹から井戸まで伸びているロープを土で隠してから、三脚を片付け、アナスタシアと中野から回収した携帯電話の電源を切った。アナスタシアのスマートフォンは解放時に返すつもりだった。亜人管理委員会や警察に追われてパニックになったら、助けを求めて不用意に携帯電話を使用するかもしれない。
永井は森の中を移動しながら、こんどは中野を運ぶ作業か、と思った。中野の体重はアナスタシアより重い。永井はすこし憂鬱になり、ため息を吐いた。
永井「明日は筋肉痛かなあ……」
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