338: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/07/08(土) 14:11:53.39 ID:8mPTevMeO
アナスタシアは幹の寄りかかりながら、襲いかかってくる黒い幽霊を見る。死んで復活するのを待っていたら、そのあいだに永井の幽霊がふたたびアナスタシアの幽霊を無力化するだろう。黒い幽霊の使用は二回目で、この日はすでに使用限度をむかえていた。後頭部から垂れた血が背中へ流れるのを感じながら、アナスタシアは覚悟を決めた。ここで殺されるわけにはいかない。彼の思惑通り、わたしが亜人だと世間に知られ、捕まってしまったら、悲しむ人たちが大勢いる。家族や仲間。そして美波。美波の心はもう限界だ。もうこれ以上、悲しさに耐えることはできない。だから、彼と戦う。戦って、そしていまならまだ、逃げることもできるはず。
アナスタシア「たたかって!」
渾身の叫びを放ったアナスタシアの身体が幹からずり落ちふたたび地面に手をつくことになったが、頭をさげることはなかった。命令を受けた星十字の幽霊が姿勢を低くし、引き絞られた矢が指から解放され張飛するかのように前方に飛び出した。永井はすでに足を止めている。永井の幽霊が星十字型の頭部めがけて右腕を振り下ろす。アナスタシアの幽霊は一際強く踏み込みさらに姿勢を低くすると、地上の獲物を捕獲する猛禽のような鋭い突進を見せた。攻撃をかいくぐり、右腕を伸ばしラリアットの要領で永井の幽霊の両脚にカウンターを加える。両方の膝がまるごと消失した永井の幽霊が前方におおきく倒れる。アナスタシアの幽霊は右腕の付け根から粒子を散らしながら身体を浮上させ、まっすぐ永井に向かってより強い突進してを見せる。
永井が三体目の黒い幽霊を発現させる。
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