新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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339: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/07/08(土) 14:14:08.26 ID:8mPTevMeO

三体目に対処する暇もなく、またしても星十字の頭部が砕かれる。


IBM(永井)『ざまーみろ』


三体目の幽霊がそうつぶやくのを、アナスタシアは混乱と絶望の入り混じった気持ちで聞いた。彼は、永井圭は、わたしよりもおおく幽霊を使えるの? どうして? なんで、二体同時に動かせるの?

アナスタシアも黒い幽霊を二体同時に発現することが可能だったが、命令通りに動くのは一体だけで、あとの一体はまともに動くことすらできなかった。

混乱はすぐに恐怖に変わった。膝を失くした黒い幽霊が、非人間的な動きと速さでアナスタシアに近寄ってきていた。逃げようとしても身体は麻痺して、気力を失ったアナスタシアは倒れた身体を起こすこともできなくなっていた。黒い幽霊は容赦が無かった。幽霊の手がアナスタシアの右脹脛を掴むと、尖った爪が筋肉を貫通した。


アナスタシア「うあ゛っ……あ、あ゛あ゛あ゛ああ!」


黒い幽霊は絶叫するアナスタシアを気にすることなく、そのまま脛骨も握り潰した。膝下から二十センチあたりのところで、アナスタシアの脚が外側に折れた。


IBM(永井)『なんで……他人を、気遣え……るんですか?』


黒い幽霊はその言葉を残して消失した。幽霊が消えても、アナスタシアは地面に伏せたまま。戦うことも、逃げることも不可能だった。助けを呼ぶことも、命乞いも不可能だった。泣き声まじりの呼吸が弱々しく続くだけだった。




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