325: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/07/08(土) 13:50:33.48 ID:8mPTevMeO
永井は顔を上げて、ふたたびアナスタシアを見据えながら言った。
永井「どうしてわざわざ研究所に?」
永井の口調は、込み入った事件の真相を論理的に解き明かした探偵が、唯一分からなかった事件の動機、犯人の心理の部分への疑問を口にするかのような口調だった。
永井「きみ自身にもリスクはあったはずだ。亜人だとバレたら大変なことになってた」
アナスタシア「ほっとくわけにはいきません」
アナスタシアも永井を真っ直ぐ見据えて言った。いまから自分が口にするのは重要なことだと、アナスタシアは確信していた。
アナスタシア「あなたは、ミナミの大切なムラートゥシィーブラート……弟、なんですから」
永井「そう」
永井は枝の影を一瞥してから、アナスタシアに視線を戻した。目の前の亜人を見据えながら、永井は言った。
永井「僕には理解できないね」
アナスタシア「え……?」
アナスタシアには永井の言ったことこそ理解できなかった。もしかしたら、不用意にロシア語を使ったせいかもしれないと思いあたり、改めて説明を試みようとした。そのとき、激しいめまいがアナスタシアを襲った。
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