新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
1- 20
321: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/07/08(土) 13:44:15.01 ID:8mPTevMeO

アナスタシアが視線をおにぎりから目の前の永井に向けると、永井はアナスタシアがおいしそうにおにぎりを食べる様子を見て、安心したように薄い微笑みを作っていた。アナスタシアはその微笑みを見て驚いた。

アナスタシアは直接的にはじめて見る美波の弟がどんな顔、表情をしているのか、じっくりとよく見てみたい気持ちだったのだが、自分の顔がさんざん報道され、政府や警察はおろか一般の人びとにも追いかけられ、追い立てられている状況にあっては、そうした態度をとるのは失礼だろうと思い、永井が腰を下ろしたときにひかえめに一瞥したあとは、視線を二人のあいだの地面に向けていた。

目や鼻、眉の形といった形質的な類似はそういった理由から、しっかりと見て取れなかった。ただ、口角の角度や頬の持ち上げ方といった形式的な部分は、姉である美波の笑い方にそっくりだった。アナスタシアの驚きは、微笑みのかたちが類似していたことだけに留まらない。表面上は似ているはずの微笑みがもたらす効果は、真逆といっていいほど異なっていた。美波のそれと違い、永井圭の笑みは技術的な点が目について、なんだか落ち着かない気持ちになる。アナスタシアはそんな気持ちにを振り払うように二個目のおにぎりを食べ始めた。小枝を拾い、地面に刺す永井の表情から笑顔はもうなくなっていた。

結局、アナスタシアはおにぎり三個をすべてたいらげた。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
968Res/1014.51 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice