320: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/07/08(土) 13:42:35.35 ID:8mPTevMeO
永井「かたちが悪くてごめんね」
アナスタシア「あなたが、作ったんですか?」
永井「握っただけだけどね。村の人たちで草刈りするからって、みんなのお昼を作るのを手伝わされたんだ」
アナスタシア「だ、大丈夫、なんですか? テレビでたくさん……」
永井「案外気づかれないもんだよ。ちょっと田舎に来ただけで誰も僕の顔を知らないんだ。それに、十七、八なんてみんな特徴ない顔してるし」
そう言うと、永井はペットボトルのお茶を一口飲んだ。ペットボトルから口を離すと、永井はアナスタシアのぴったりくっつけた膝の上に置いたままの容器に視線を移して、言った。
永井「冷たいからおいしくないかも」
お腹が鳴ったすぐあとにパクつくのはなんだかはしたない気がして、アナスタシアはおにぎりに手をつけるのを躊躇っていたのだが、永井のひと言によって一口食べることに決めた。口に入れた白米は、たしかに永井の言う通り冷えていたが、お米は固すぎず柔らかすぎず、芯までしっかりとした食感があり噛むのが楽しい。具材はきのこの煮付け。だし汁と醤油とみりんの風味が噛むごとに染み出し、ご飯とのあいだに染み渡る。きのこそのものの味もとんでもなく美味しい。
アナスタシア「オーチニ フクースナ……!」
永井「そう。よかった」
968Res/1014.51 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20