319: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/07/08(土) 13:41:34.44 ID:8mPTevMeO
水筒の蓋をコップにして注いだ麦茶はかすかな波を作り、葉の隙間から差し込んでくる光線を跳ね返して揺れている。煎った大麦からできた液体は新鮮な色をしていて、その上透き通っている。アナスタシアは麦茶を一口で半分ほど飲みこんだ。冷たさが喉を通る感覚が気持ち良く、残りもすぐに飲んでしまった。蓋を空にしたあとにゆっくり息をつくと、喉に残っていた冷気が口まで戻ってくる。アナスタシアは永井にお礼を言った。
アナスタシア「スパシーバ……ありがとうございます」
永井「ごはんは食べた?」
アナスタシア「アー……お昼ならもう……」
食べました、と言いかけたところで、アナスタシアのお腹がちいさく鳴り、空腹であることを無遠慮に告げた。永井は、はずかしそうにうつむくアナスタシアにさしたる反応も見せず、バックからプラスチック製の保存容器を取り出しアナスタシアに渡した。
永井「お昼の残りで悪いけど」
容器の蓋を開けると、中にはサランラップに包まれたおにぎりが三個入っていて、底に小型の保冷剤が敷いてある。おにぎりのかたちはどれも不恰好で、ごつごつしていた。
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