317: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/07/08(土) 13:39:15.33 ID:8mPTevMeO
もしかして、潜伏していることがバレたのでは?
待ち合わせの時刻から一時間が過ぎたところでアナスタシアは不安になってきた。美波の弟が一向に姿も見せない状況に時間が経つごとに焦燥感が増していく。探すにしてもここがどこだが、このあたりに人が住んでいるのかすらわからない。スマートフォンは圏外で地図の検索もできない。
結局、アナスタシアは待つしかない。寮の門限のことを考えると、もうあまり待つ時間はないが、それでも、とにかく待つことにした。アナスタシアは崖下の川の流れる音を聞きながら、ふと、降りて行って川の近くで涼みながら待ってみようかな、と考えた。ここからそんなに離れるわけではないし、黒い粒子の狼煙をあげればどこにいるかはすぐにわかるだろうし、それに持ってきたスポーツドリンクはからっぽで喉がカラカラなのだ。
アナスタシアはしばらく流水に思いを馳せていたが、やがて膝を抱えて眼を閉じると、唾をゴクッと飲み込んで我慢することにした。もうすこしだけここで待ってみよう。美波の弟なら理由もなく約束を破ることはないはず。きっとすぐにやって来るだろう、たぶん。
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