280: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/07/08(土) 12:31:40.28 ID:8mPTevMeO
佐藤に問いかけられた中野は、怯えたように唾を飲み込んで額から汗を滲ませていた。まさかテロへの参加を呼びかけられるとは夢にも思っていなかったからだ。
中野「反対です」
おそるおそるといった調子で、中野はなんとか反対の意志を伝える。
佐藤「あー……そうか。残念だなあ……」
そう言う佐藤の表情はほんとうに残念そうだ。
佐藤「反対派は帰ってもらってかまわないよ」
その言葉に促され、眼鏡とショルダーバッグの男が出口に向かう。眼鏡の男は秋山に「行きましょう」と声をかけるが、秋山は佐藤を睨みつけたままでいる。
秋山「佐藤……ふざけたことはさせないぞ。必ずやめさせる」
中野が二人のあとをついていく。秋山は去ろうとする気配を見せず、中野は緊張感が漂う視線の交錯につられたのか、ふと佐藤のほうを見た。
佐藤の背後の壁の右側の床の近くに、八〇センチ四方くらいの換気口があった。換気口にはルーバーが取り付けられていた。ルーバーの羽板は薄いアルミでできていて、真ん中あたりにある羽板のあいだから、筒のようなものが中野たちのいる方に伸びている。
中野「あ」
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