217: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/05/16(火) 21:49:55.00 ID:AMJLL1TVO
下をのぞきこむ永井の横顔を見ながら、研究員は永井に話しかけた。
研究員3「きみが外へ出たあと、おれの車でどこかまで送ってもいいよ」
永井「え!」
研究員3「仕事だと割り切っていたが、ほんとうに酷いこたをしたから……あとひとつ、安心してほしいことが」
研究員は永井の肩にゆっくりと手を置いた。
研究員3「きみはきみのままってこと。実験中一度も断頭は行ってないし、トラック事故現場にも脳細胞は残されていなかった……それだけ伝えたかったんだ」
永井「なんで、他人を気遣えるんですか?」
研究員3「ん?」
永井「人の痛みなんて、わかります?」
思ってみなかった永井からの質問に、研究員は戸惑った。永井は対処できない事柄を合理的に放棄したときのような、極めてフラットな無感情を顔にあらわしていた。
研究員3「それは、きみが亜人になってから酷い目にあって、心が……」
永井「いえ」
研究員のわかりやすさを求めるひどく一般的な推測は、永井のつぎの言葉によって退けられた。
永井「僕は、上辺以外で人の心配なんてしたことない」
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