218: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/05/16(火) 21:51:44.77 ID:AMJLL1TVO
銃弾が永井の肩に命中した。佐藤が永井と研究員からすこし離れた位置に立っていて、ふたりを拳銃で狙っている。
研究員3「隠れろ!」
研究員は永井に覆い被さるように肩に腕を回し、屋根のある通路に向かって走った。佐藤は冷静に引き金を引いた。銃弾が二発、二人のすぐ横を通り抜けた。通路のすぐ横にある一・五メートルほどの高さを持った潅木植物が植えられている花壇に二人が自分たちの身を隠そうとしたとき、三発目の銃弾が研究員の胸の真ん中を捉えた。銃撃の衝撃で研究員は前につんのめり、通路に仰向けに倒れた。
永井「あーあ……」
動かなくなった研究員を見ながら、さすがに永井もすこし残念な気持ちになった。
永井 (死んじゃあもうたすけようがないなあ……さて)
永井「飛び降りて逃げなきゃ」
永井 (最短距離はあっちだ)
永井は視線を研究員から屋上の南側に移した。南側に転落防止柵は備えられてなかった。研究員の身体が通路に横たわっている。
永井(……うーん、死体が邪魔だな)
永井「が、贅沢言ってらんない」
永井はおおきく息を吸い走り出した。柱のところまで来ていた佐藤が上半身を屋根の下のほうに傾け、逃げる永井を撃った。弾は永井の左脚に掠ったが、逃走をとめるには至らなかった。拳銃にスライドストップがかかり、スライドが後退した位置のまま固定された。
佐藤「弾切れー……」
縁へ走る永井の視界から屋上の景色が退いていく。
永井「もうすこし、もうすこしだ!」
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