216: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/05/16(火) 21:46:58.57 ID:AMJLL1TVO
屋上に飛び出してきた永井の頬を雨粒が叩いた。研究所は屋上緑化を進めていて、鮮やかな緑色の葉をした植物が植込みの中で存分に生い茂っている。その植物を眺めるのに最適な位置に、ベンチが全部で四脚、通路の上に背中合わせで配置されていて、平らなL字型のルーフがベンチにかぶさり、南側の縁にまっすぐ平行に延びるルーフとつながっている。
永井が肩で息をしながらドアに寄りかかっていると、唸りをあげる風の中から自分を呼ぶ声が聞こえてきた。声のほうを見やると、マスクの研究員が屋上の縁で手を振って永井を待っている。永井は息を吸い、研究員のほうへかけて行った。
永井「なんでまだいるんですか?」
研究員3「これの使い方を教えないと」
研究員は金属製の箱に手を置いた。
研究員3「火災用脱出シュート。これで降りる」
永井「いやいやいらないですよ、僕には」
研究員3「あ、そうか」
永井「この高さで死ねるかな……」
研究員3「……けど、それだけで待ってたわけじゃないんだ」
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