207: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/05/16(火) 21:00:26.81 ID:AMJLL1TVO
一方、永井は壁に引かれた線をたどって、痛みのせいでときおり息を詰まらせながら、通路を走っていた。
永井「ざまーみろ……助かった……アレのおかげで」
同じころ、モニタールームにいるオグラは岸からの疑問、IBMを構成する未知の物質と亜人の不死の関係性について解説をしていた。
オグラ「人は、なぜミカンを食べるのか」
激痛が走るたびに永井は叫ぶように口を開け大きく息をはき、痛みを紛らわしながら前に進んだ。
永井「黒い幽霊……亜人はアレが出せるんだ」
オグラは目に見えないミカンを持つフリをしながら解説をつづける。
オグラ「人はビタミンCを自ら生成することができない。だから果物などから摂取する必要がある。栄養不足で死んだ亜人は、再生時それすら作り出すことができるんだ」
別々の場所にいる永井とオグラは、ほとんど声を合わせるように同じタイミングで、まるっきり正反対のことをいった。
永井「ていうか、不死身とカンケーないじゃん」
オグラ「未知の物質を作り出すことと無関係なはずがない」
永井がその部屋を通り過ぎたとき、それまで壁にまっすぐ引かれていた線はいちど途切れ、曲線を描いて下降していたが、永井は気づかず通路を先へ進んだ。しばらくあとで永井を追う佐藤がその部屋のまえで立ち止まり、部屋の中を透かして見ようとするようにドアを見つめた。佐藤は血の跡に視線を戻し、また歩き出した。
研究員2 (よし!!)
前髪をあげている研究員は足音が遠のいていくの聞きながら、自分だけは生還した、もう安全だ、とよろこんだ。
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