205: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/05/16(火) 20:56:12.17 ID:AMJLL1TVO
天井を覆い尽くす大量の粒子は、隅の方へ流れている。そこでは換気扇が作動中だった。
永井 (いや、換気扇に吸い込まれてる。煙? 粉?)
粒子は雲のようになっていた。黒過ぎるその雲から二本の腕が飛び出してくると、雲は異次元に通じる裂け目のようにみえた。腕は螺旋が巻くように形成され、浮遊的な気体の状態から人間のかたちにそっくりだが、有機体ではない肉体へと組織されていった。黒い幽霊は無意識のうちに発現していた。黒い幽霊は床に着地すると、顔の無い頭部をあげ、佐藤を見上げながらいった。
IBM(永井)『あな……たの、娘さん……殺されちゃうよ?』
佐藤 (これが永井君の……形状はプレーン)
黒い幽霊はしゃがんだまま、動きをみせず黙ったままだった。膠着状態ができあがったが、永井はそれにつきあおうとせず、佐藤の視線が黒い幽霊に注がれて固定されている隙に、幽霊の脇を通ってドアまで真っ直ぐダッシュした。佐藤の反射は速かった。永井が一歩目を踏み出したときにはもう身体が反応し、二歩目で腕を上げ、三歩目で首のうしろに狙いをつけていた。
永井「痛て!?」
黒い幽霊の腕のひと振りが、佐藤のナイフを持っている方の腕を切断した。幽霊の腕の勢いはそれでとまらず、横を駆け抜けていく永井の上腕を鋭くとがった爪がすぱっと裂いて、三本の切り傷をつくった。
IBM(永井)『腕を折る……とかは、どうです?』
佐藤 (なんだコイツは?)
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