新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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197: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/05/16(火) 20:35:36.36 ID:AMJLL1TVO

研究員2「おまえのせいで何人死んだと思ってんだ!」


声を押し殺しつつ、研究員は永井に責任を押し付けようとした。永井は通路にあった死体の数をざっと思い出しながら、「僕が殺したわけじゃないしなあ」とどうでもよさそうにつぶやいた。永井は小さな黒い眼で隣の研究員を見据えた。瞳の黒さには、どこか冷酷な感じを与えるものがあった。


永井「だいいち、アンタらが僕にしたことを忘れたわけじゃないからな」

研究員2「ぜってえ解剖台に戻してやる」

永井「いやだ。死んでも戻りたくない」


永井は立てた膝のうえに顎を置いて前を見ながら言った。永井は視線の先にある空間を見ているというより、さっき研究員が放った“解剖台”という語が連想させる仮定ーーふたたび仰向けの固定姿勢で痛みが与えられるという仮定ーーが、映像として空間に投影されているというような眼で、恐怖をじんわりと汗をかくように感じながらいった。


永井「そういうアンタらも死なずに外へ避難したいはず。目的は一緒。ギブアンドテイクだ。僕が囮になってアンタらココから出す、アンタらは安全に外まで行けるルートを僕に示す」

研究員3「いいのか? 囮なんて……」

永井「死なないですし」

研究員3「それはちが……」

研究員2「よせよ! やる気になってんだから!」


マスクの研究員が言いかけた内容をその同僚が遮ったことを永井が怪訝に思っていると、復活した佐藤が聞き取りやすい響きを持った声で永井に呼びかけてきた。


佐藤「永井君、聞いてるかな?」




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