新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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167: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/04/23(日) 21:01:43.21 ID:5HbT9nK2O
警備室のモニター画面の一つがパッと明るくなった。研究所の東側の入口に設置されている人感センサーが反応し、ライトが灯ったためだった。そこには一人の男が黄色い色をした光の円の中心に立っていて、なにか筒状の物を肩に担いでいる姿が映っていた。警備室近く東入口の喫煙室でタバコを吸いながらたむろしていた四名の警備員は、雨の中にいる男の姿を正面から見た。男は帽子を被っていた。佐藤だった。

佐藤が肩に担いでいる無骨な筒はAT4と呼ばれるもので、直接の見覚えがなくても警備員たちはそれが携帯式の対戦車火器であることがわかった。発射音による空気の弾性波が津波のように轟き渡り、火器後方から塩水が噴き出すと成形炸薬弾が東入口で爆発した。火と金属片と衝撃波が警備員たちを襲った。黒い煙といっしょに吹き飛ばされたガラスが通路を満たし皮膚に突き刺さる、壁や床を這いまわる火が倒れて這いつくばって苦しんでいる警備員たちの背中や腹と床との隙間に流れ込み、オレンジ色をした火が流された赤い血と混じって強く発光した。火が彼らを苛む、皮膚と筋肉と血管を焼いて焦がす。



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