168: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/04/23(日) 21:03:20.57 ID:5HbT9nK2O
佐藤は無反動砲を濡れた地面に投げ捨てると、M4アサルトカービンを火の中へ向けてフルオートで撃ち始めた。銃声が警備員たちの絶叫を打ち消した。銃弾は熱せられた空気の中を飛び回った。残っていたガラスを割り、穿った壁に埋まって粉塵を飛ばし、天井のライトを吹き飛ばし、床を削り取って火の中に飛び込み、警備員の身体を貫通し、爆発で穴が空いた壁の向こうの警備室まで到達した。銃弾は様々な物体とぶつかり、物体の素材ごとに異なるあらゆる音が警備室周辺の空間に乱れ鳴っていた。
佐藤は銃弾をばら撒きながら前進した。狙いはつけず、通路の左の壁から右の壁まで線をなぞるようにして銃口を動かした。帽子に当たる水滴が、空から落ちてくるものから天井に備え付けてあるスプリンクラーによって散水されたものに変わった。ガラス片を踏むぎしゃりという音がした。爆風で吹き飛んだ警備員たちに銃弾は容赦無く降り注いいだ。四人の警備員のうち二名はもう事切れていて、身体に空いた穴の数が増えていってもまったく気にしてなかった。水に浸された床にタバコが数本浮いていて、そのすぐ側に皮膚の焦げた死にかけた警備員が蹲って身をよじらせていた。佐藤は歩きながらその男の頭に弾を撃ち込んだ。水と煙と火の中を抜けると、通路の奥で片腕が千切れた警備員が炸薬弾からも銃弾による大数の法則からも奇跡的に生き延びて壁に寄りかかって懸命に息を吸っていたので、佐藤はいちばん若いその男の胸部と頭部に二発一発と銃弾を叩き込んだ。廊下を左に折れて警備室に入っていく。部屋の中は廊下の状況ほど酷くなく、煙と熱が苦しいくらいで、熱気のほうはスプリンクラーが冷まそうとしていた。軽傷の警備員がモニターの向こうに話しかけている。佐藤はその男の頭部に照準を合わせた。銃を持ち上げたときの気配と音でその警備員は自分に狙いをつける佐藤を見ることになった。佐藤は眉間を撃ち抜かれた死体を跨いでモニターに顔を寄せると、画面の向こうにいる戸崎に向かって、やあ、と話しかけた。
佐藤「そこにいるのかな? トザキ君」
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