新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
1- 20
163: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/04/23(日) 20:54:58.04 ID:5HbT9nK2O
雨滴はフェンスの網目に沿ってしとしとと植込みの向こうに広がる草の上に流れていて、それを目で確認するのは暗闇のせいでかなわない。唯一その様子を見て取ることができるのは敷地内を巡回する警備員がライトでフェンスを照らしたときだけだ。ライトは防水式LEDタイプのマグライトで直線的な黄色の光線を遠くまで延ばして草の上に落ちていた。光線の長さにつられるように、光が当たっている草の影も長く延びている。光線はフェンスの方向を照らしていたが、地面には網目模様の影はうつっていなかった。フェンスは四角く切り取られていて、そのすぐ横に首から顎、そして顔面にかけて深い裂傷を負った警備員が倒れていた。警備員の眼に雨が当たる。その眼は光を失ったまま、雨滴に無反応で瞼が壊れたガレージのように開いたままだった。


佐藤「絶好の反逆日和とはいかないなあ。雨の中じゃ黒い幽霊の操作はしにくくなる」


警備員の死体の横に田中の幽霊が立っていた。警備員の首を切り落とすはずだった黒い幽霊の右腕はすでに消滅していて、幽霊は片腕にもかかわらずなにか他に気になることでもあるかなようにブツブツ独り言を切れ目なく続けている。

佐藤はナイロン生地のボストンバッグを開けると中からこれから起こす出来事に必要なものをを取り出して、田中も佐藤といっしょにそれらの銃器を身につけていった。装備にまだ時間のかかる田中を佐藤はいつものように微笑みながら待っていた。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
968Res/1014.51 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice